Opalpearlmoon

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高潔なる霊智の騎士

火狩遼。
 
大学教授の父をもつ、18歳の少年。お父さんはドイツに長く赴任していて、その時に交流のあった先代の総帥に誘われて騎士団に入団した。火狩さんが鈴影さんと知り合ったのも多分その時だと思われます。
大学教授とのことですがなんの先生なんでしょうね。ドイツですし医学系でしょうか。理系でサッカー好きなスポーツマンのお父さんというのも格好いいですね。
 
「ベリーショートの黒髪の下、潔癖そうなカーブを描いたきれいな額、吊り上がった眉、甘さを含んで熱く輝く瞳、精悍な頬、清潔そうな唇、ガッチリとした上半身、すらりとした二本の長い脚、バツグンにスタイルのいい八頭身っ!」
 
だそうで…これで183cmの長身ですよ、どうみても完全無欠のイケメンです。
子どものころは大人っぽいイメージだったのですが、今読み返すと年相応の少年ですね。
よく笑うし、冗談も言うし、女の子も口説くし()シュート競争をもちかけるサッカー少年でもあります。
普通の男の子で感覚も日本人。同性の友達を姓名で呼び捨てにするって日本人の感覚ですよね。たとえ総帥と騎士であっても同い年の対等な友達って感じがして好きでした。
 
いやー、彼はかっこいいです!
このころの銀バラの設定は上流階級の名誉サークル的な意味合いが強く、騎士団のことを玲奈も知っています。
総帥位から五番目に高いという霊智の騎士。かなり優秀な人間であることがわかります。
 
しかし玲奈の事故をきっかけに彼の人生は大きく変わってしまいます。
自分の蹴ったボールを取りに行かせたことでおこった事故。決して彼のせいじゃありません。それでも自分を責めてしまうのが人というもの。
そのまま玲奈が亡くなっていれば、心の傷になったとしてもまだよかったのかもしれません。
 
彼は愛しい従妹のために星影のブレスを強奪した。
幼いころから共に過ごした家族です。
大切な人間が喪われかけている時に、それを繋ぎ止める方法がある。
この誘惑に勝てる人間はそうはいないでしょう。
罪悪感だけではなく愛情のために友情も、恋も、騎士団の地位も、自分自身すら投げ打ってそれを選んだ。
選択の重さに胸が痛くなります。
罪と責任を一身に背負った彼は闇を湛えてユメミたちの前に現れます。
その悲壮な姿といったら痛々しくてたまりません。
 
ユメミに口づけをして少年時代に終りを告げた火狩遼。
 
もし、星影のブレスが火狩家になければ。
もし、彼の意識が回復するのがもう少し遅かったら。
もし、玲奈が事故を起こさなかったら。
そう思わずにはいられません。
 
この事件は彼の人生をえぐり、深い影を落とすことでしょう。
少年からこんな形で大人になった彼はどう生きていくのか。
 
アメリカで心から笑える日がくるといい、そう思います。