Opalpearlmoon

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貴女は満月色の夢をみる

今回は我らがヒロイン、佐藤夢美についてです。
鈴影さんの次は彼女しかないと決めていました。
 
ヒロインでありながら外見描写が少ないユメミ。「星影のブレス」をよると標準体型(ヒロシいわく胸はあるけどふとめ。華奢ではなく標準体型ということでしょう)髪はミディアムからロング(ドレスアップした時にポニテにできるくらいの長さ)ひとみワールド夢辞典①によりますと 眼 可愛い茶色 髪 くせ髪 声 暖かい声 だそうで…
まさに平均的日本人女子。マリナより可愛く、花純ほど美人じゃない、クラスで10番目に可愛い女の子ってところでしょうか。
子どもの頃から彼女の強く逞しいところが好きでした。
改めて読み直して思ったのがユメミはザクザクしてるなあってことです。
ざっくりし過ぎ()
私はこのザクザクしているところが気にいっています。
ユメミはよくあたしは主婦だから、といいますが、私たちが「大人だから」と繰り返すのと似ていると思います。
取捨選択が上手くなるのが大人になるということ。
必要なものは取り、そうでないものは捨て、さらに必要になったら捨てたものも拾う。
彼女の鉄壁のスルー能力はそこからきているのでしょう。
光坂くんなんてあれだけ好き好き言っているのにスルーだし、ヒロシに思わせぶりなこと言われているのに気付かない。幼馴染は恋には発展しないなんていう始末。
そういう彼女だから鈴影さんの思いもスルーです。
だって憧れの人にあれだけ大切にされているのに約一年半も恋に落ちないんですよ!
憧れている、つまり好意はもっているんですよ。普通好きになっちゃうでしょう?!
ここで「いやいやないから。これはあの人の常態だから」と踏みとどまれるのは流石としか言いようがないです。
  
自分を大切にできているってところもポイントです。
まず自分を確保してから周りを考える。これって大人なら普通のことです。
簡単に犠牲になればいいという考え方はしません。
だからといって自己中とか優しくないというわけではありません。
彼女は優しい。
これは「月光のピアス」で魔王子を受け入れるという選択をしたことや、南原純子への友情でもわかります。
私は魔王子を受け入れるという選択をした彼女が好きです。
自分たちを呪い酷い目に合わせた元凶、すこし話しただけの異性の亡霊と共に生きるってなかなか言えるもんじゃないですよ。
自己犠牲ではなく、自分も魔王子も死なない方法を選んだ彼女はとても強かで、とてもあたたかい。
 
ユメミの言葉でとても感銘をうけた言葉があります。
「黄金のダガー」冒頭、なぜキリスト教徒でもないのにキャサニングを祝うのかと鈴影さんに問いかけられ答えた台詞。
 
「お祝いするのは、今をいっぱい楽しむためよ。毎日、同じような暮らしを規則正しく繰り返ししていると、そりゃ便利だけど、つまんないし、退屈しちゃうのよね。時々はリズムを大きくくずして違うことをやって、生活を彩どりたいの。特別の日を作って変化をつけた方が、生きることがすてきになると思うのよ」
 
この台詞は私の価値観に大きく影響を与えました。子どものくせに頭でっかちだった私は、それまで行事やお祭りはそれをしなくてはならない日だから行うものだと思っていました。子どもの日に菖蒲湯に入ることはそう決められているからだし、クリスチャンでもないのにクリスマスを祝うのは不純だと考えていたのです。
生活を楽しむためのものだという考えは新鮮で、鈴影さんと同じく知らない国の言葉を聞いているようでした。
以降面倒くさいと思っていた決まりごとが楽しく思えるようになりました。
大人になった今でもアドヴェントカレンダーを用意したり、ハロウィンにはかぼちゃ味のお菓子を用意したりします 。
 
それとは別に好きな理由があります。それはこの台詞でユメミが楽しんで生活していることがわかることです。14歳で母親と死別し、幼い弟たちの母親代わりにならないといけなかったユメミ。「月光のピアス」でお姫様のように暮らしてみたかった、「星影のブレス」で頑張りすぎで疲れていたかも、と言っていたけど、彼女はこの生き方を恨んだり後悔していないんですよね。
そりゃ弱音を吐くこともあるけど、嫌々やっているのではなく、自分で選んで主婦をしていてそれを楽しんでいる。
そういう明るさ、前向きさがユメミの魅力なんだと思います。
 
初対面の男の子の怪我をガシガシ洗い、逞しいが褒め言葉になり、野生動物を〆て美味しいといえるレベルの料理を作ることのできる彼女が大好きです。