Opalpearlmoon

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銀バラ三大裏ヒロインを語る

 
ユメミと銀のバラ騎士団シリーズのメインヒロインは、皆さんご存じ佐藤夢美。
一人称の女主人公であり、タイトルロールでもあり、完全無欠のメインヒロインです。
冷泉寺貴緒は女性レギュラーキャラということでサブヒロインといってもいいでしょう
銀バラで女性キャラといえばこの二人ですが、他にも魅力的な女性キャラが登場します。
一回の登場で鮮烈な印象を残しながらも、物語の構造上あまり良く思われない立ち位置のゲストヒロインたち。
何かと叩かれがち批判されがちですが好きなんです。
ひとみ先生の作品は女主人公が多いせいか、女性キャラは男性キャラに比べると対立するか空気のどちらかなんですよね。
だから余計に贔屓目にみちゃうんです。
ユメミちゃんと冷泉寺さんがみんな大好き表ヒロインとするならば、彼女たちはさしずめ裏ヒロイン。
そんな裏ヒロインたちを思いっきり主観で語ってみたいと思います。
 
 
火狩玲奈   
 
『星影のブレス』に登場する、華奢で愛らしい15歳の少女。
『星影のブレス』事件の元凶である彼女。
自分以外の女の子に目が向くようだったら、「彼のせいで」大怪我をして、心配してもらおう。
そんな幼く自己中な考えから事件を引き起こしました。
しかしそれはせいぜい困らせる、心配させる程度のものだったはず。
本当に死んでしまって、なし崩し的に突き進むしかなくなってしまったんですよね……。
確かに玲奈があのような行動をとらなければ星影のブレスは何事もなく銀のバラ騎士団に戻り、火狩さんは鈴影さんと対立することも騎士団を辞めることもなかった。
でも彼女だけを責めるのは違うと思うんです。
運命のままに玲奈さんの命が尽きるのを受けいれる選択肢もあったはずなのに、火狩さんが銀のバラ騎士団より玲奈を選んだのは彼の意思です。
たぶん、火狩さんは故意に事故を起こしたことを知ってても玲奈を庇ったと思うよ。
玲奈のどこが好きって、最後にユメミに「ごめんなさい」と謝ってるところ。
彼女が一番どうしてこんなことになってしまったのと思ってたんじゃないかな。
幼さゆえの出来心でとんでもないことになって、自分の命で責任をとることになる。
自業自得と切り捨ててしまったら楽だけど、最後の最後に火狩さんではなくユメミに謝って逝った彼女を私は嫌いにはなれない。
可哀想と思ってしまうのです。
そして火狩さんと一緒に逝くこともできたのにそうしなかった。
それだけはできなかった玲奈のことが好きです。
 
星影のブレスの効果を知っていた上で遼なら必ず自分を助けると計算して自殺し、罪悪感と罪の共有で縛りつけようとした、真性ヤンデレだった訳じゃないし。
まあ、それならそれで好きですけどね。
本当に欲しいものを手に入れるためなら自分がどれだけ穢れてもかまわないってタイプは突き抜けていて逆に好きです。
 
 
ルーラ・バンテリアン 
 
『天使のカンタレラ』に登場する豊かな金髪がステキな美人さん。
彼女はねー、可哀想。とにかく可哀想。
ルーラからしたらですよ、敵なのに信頼してディアランの命をまかせたところ恋仲になって帰ってきたって、その上カンタレラを飲まされたから恋に落ちたの不可抗力だったの、なんてしゃあしゃあといわれたらこんにゃろおおおおこんのめぎつねめっ、ってなりますよ。
ルーラの好きなところはね、ディアランの裏切りに対して怒りをちゃんと本人に向けたところ。
だいたいこういう場合、一般的に女って男より相手の女を責めるじゃないですか。
「彼が変わってしまったのはあの女のせい」「あの女がたぶらかしたんだ、彼は悪くない、悪いのは全部あの女」って。
でもルーラはディアランへの失望と怒りをディアランに対して向けてるんですよね。
ちゃんと「可愛さ余って憎さ百倍」してる。
そしてユメミには信頼していたのに裏切られた怒りを向けている。
感情を混合しない真面目さが好きなんです。
潔癖な人だなあって思う。
ただ、彼女の未来は明るくなさそうなんですよね。
反逆者の娘ですし、ディアランの恋に動揺してとはいえ積極的に裏切っていますしね。
父娘そろって処刑ですかね…。
とはいえ、クーデター騒動を乗り切ったのは太陽のリングのおかげという他力本願で解決してるんだから、そこんとこどうにかならないかな。
幸せになってほしい人です。
 
アーシャ・シン    
 
『銀のメサイア』に登場する可憐で美しい少女。
年は15~6といったところでしょうか。
アーシャはね、可愛い。
アーシャ可愛いよアーシャ。
アーシャはクリシュナを一緒に死のうと誘ってる、とか、アーシャが来なければ予言が成就されなかった、とか、虎へ変身させてた張本人、みたいな、何かと元凶扱いされてますが、そんなことないと思うんだよね。
予言の成就については年上で男であるクリシュナにより罪の比重があると思うし。
虎へ変身してたのはアーシャの強い想いに応えていたからだし。
アーシャが死の世界から呼んでいるからクリシュナが目覚めないというのも、二度もアーシャを救えなかったクリシュナ自身が拒んでるんじゃないかと思うし。
運命的な出会いをして恋に落ちて、身分差があるから結ばれないかと思いきや、相手もマハラジャだったという奇跡のハッピーエンド。で終わると思ったら実は生き別れた兄で他の人と強制的に結婚させられた。
こんな天国と地獄を経験したら、そりゃあまともではいられないって。
そこからは悲劇へ一直線ですが、それでもアーシャのせい、ではない。
 
描写が少なく、生霊状態がインパクトありすぎで忘れがちですが、蘇生された後はクリシュナを心配してクリシュナのために再会しないことを決めてたんですよね。
だから自分よりもクリシュナについてやってくれとアルジュナに頼んだ、愛情深い女の子なんです。
そして、アーシャにとって死と生はあいまいなものになり、蝕んでいった。
生すら知らされていなかった兄シヴァラージ。
死んだはずなのに生きていた兄シヴァ。
殺されたはずなのに生きている自分。
血に塗れて死んだ父と母。
死んだものも生きている境界の上で、生者が虎になることなど造作もないことになっていったんだと思う。
狂気に落ちた彼女をただただ可哀想に思うんです。
 
なんつーか、アルジュナがもっとしっかりしてたら狂わないですんでたんじゃないかと思っちゃうんですよね。
どうもシヴァお兄様はシヴァラージお兄様のほうばかり向いている気がする。
ちゃんとお医者様に見せて治療して一緒にいる時間を増やせばよかったんじゃない。
インドにいるのが駄目なら戸籍なんとかして海外に療養させるとかさ。
だいたい虎が向かってるところがアーシャのいる家なんて、総帥がちょっと調べただけで気づいたことになんで気づかないんだよ。
やる気あるの?と問い詰めたい。
もう少し妹のことを真剣に考えてくれれば、違った形があったのかなと思ってしまうのです。
 
とまあ、独断と偏見でお送りしました。
いかがでしょうか。
こんな見方、こんな一面もあるよと思っていただければ嬉しいです。 
主人公側からじゃない、反対側から物語を見てみるのは楽しいですよ。
あいつだけは許せない・犯人は語る、とか、恋のライバルは辛いよ、とか
各作品の敵役ポジションを真剣に語るというのも面白いかもしれませんね。