Opalpearlmoon

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隠されたものほど見たくなる

 
オンディーヌの聖衣は友情、人との関わり方が大きなテーマとなっている作品です。
南原純子との友情とルスカの言葉
光坂くんの付き合いの長さに対する嫉妬
変身設定をフルに使った潜入劇
鈴影さんの総帥位の危機
ユメミとルスカの共鳴
など縦軸も多く、読み応えのある作品となっています。
5月にふさわしい爽やかなテーマで読後感もよいものです。
 
――が、当時から私は思っていました。オンディーヌの聖衣はなんかドキドキすると……!!
 
え、思いませんか? 反応が怖い……
なんというんでしょう…イケナイものをみているような気がしてならなかったのです。
元々銀バラはドキッとするような妖しいところがウリの一つだと思うのですが、とくにそれを感じたんですよね。
 
・四誓願 肉体の純潔
・ユメミの手の甲の傷に消毒のためキスをする鈴影さん
・ユメミをドキッとさせるためにキスのふりをするヒロシと光坂くん
・ルスカとクラウスの関係
・オンディーヌの聖衣に補填するため心臓からエネルギーをとる
・烙痕を消す儀式
 
これらの記述に「え、それってどういうことなの…?」と立ちどまりこれらに隠された「何か」を色っぽいと感じ、ドキドキしていたのだと思います。
そして鈴影さん。前二作に比べオンディーヌでは彼にクローズアップされています。その秘められた心をのぞきみるような感じがして、ドキドキしていました。
一人称の利点が集約されているような鈴影さんの描写。ユメミの目から見る、ヒロシや光坂くん、冷泉寺さんが語る鈴影さんは高潔で理知的で熱く、くらっとするほど素敵でした。
直接描写されず間接的に描かれるからこそ、そこに読者の想像力も加わってより魅力的に表されていたのだと思います。
 
隠されたものほど見たくなる。
 
爽やかさと妖しさの二面性が際立つオンディーヌの聖衣。
大好きです。