Opalpearlmoon

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誉れ高き古の国の皇子

 
ディアラン・フィンガル。
 
神聖オーディン帝国第一皇子。
白銀の甲冑に青紫のマントを纏う、輝くような金の髪とインディゴブルーの瞳の精悍で美しい青年。
美少年や美青年というより美丈夫ですね。
彼には、北欧神話オーディンケルト神話のフィン(フィンガル)、アーサー王伝説のカンタレラ、そして東ヨーロッパにあったという帝国、このことから神秘的でエキゾチックなイメージがあります。
実際バリバリファンタジーな世界の住人で、天翔る白馬、攻撃力のある魔法の粉などRPGゲームの様です。
オカルトファンタジーが売りの銀バラですが、異世界の帝国が登場するカンタレラは特にその色が強いです。
今回再中毒してよかったと思えるところは、ディアランについて掘り下げることができたこと!
私にとってカンタレラは鈴影さんのインパクトが強すぎて、なかなかディアランまで辿り着かなかったんです^^;
 
登場からユメミの耳を引きちぎろうとした乱暴な彼ですが、ある意味公平だともいえます。
性別で態度を変えないのでしょうね、あれは月光のピアスをつけている人間が男だったとしても同じ扱いだったと思う。
だから「優秀で強い軍人」であったルーラを認め、信頼していたのだと思っています。
皇子という高い地位、それに見劣りしない容姿と才覚、全てを兼ね備えている彼は傲慢とまでいかなくても、望月のように輝いていたのでしょう。
それが、銀剣を心臓にうけて、命の危機に陥りそこで初めて、自分ではどうしようもないことを知ったのだと思います。
それを救い、さらに敵である自分に心からの敬意と愛情をみせたユメミに魅かれたのも無理もありません。
しかしその手段がまずかった!欠けることのない望月であるディアランにとって、片恋や失恋はありえないことだったんですよね。「恋をしてみたい」といっている通り、恋に落ちてはいない。だから初めていいなって思える女性にであってそれを拒まれたことが、彼に天使のカンタレラを選ばせたのです。
望み通りユメミと恋に落ちた彼は、愛することの喜び、愛されることの歓びを知ります。ここの描写は瑞々しくて素敵ですよね。好きになったときのふんわりとした幸福感が伝わってくる良いシーンだと思います。
そして……彼は本当の愛を知ります。ユメミがカンタレラを拒絶し命を失いかけた時、迷うことなくきっぱりとユメミの命を選びました。
天使のカンタレラによって愛情が純化されたからでしょうか?謀った後ろめたさからでしょうか?
どちらもあると思います。
しかしそれがディアランの愛を色褪せさせるものではないと思うのです。
恋をしたから、自分自身の欲求や幸せより、大切なものがあるということを知り、愛をしった。
一時間半の恋。
欠けた月は、これからより大きく満ちることができるでしょう。
私はそう信じています。
まあでも、命と引き換えって卑怯だと思いますけどね。そんなんされたらもう優先するしかどうしようもないよねっていう。
ちなみにCDブックでのディアラン役は堀秀行さん。低く潔癖で渋い声がすっごいカッコいいです。
 
天使のカンタレラを共に口にしたものは引き離されると恋焦がれて死んでしまう、とあったのであの後のディアランが心配だったのですが、オーディンの王族に伝わる秘薬であり、解毒方法が「王家の人間が口移しで飲ませること」だった天使のカンタレラなのですから、最初から王族であるディアランには無効だったのでしょうね。
元々王家の人間が女性を思う通りにするため、もしくは策略に使う為の秘薬だったんだろうから、その王家の人間にデメリットがあるなんてことあるはずがない。
銀の蹄鉄といい、オーディン王家は隠し玉が多いぞ()
 
今頃彼は神聖オーディン帝国を継いで皇帝になっているでしょうか。
異世界の神聖オーディン帝国と現実世界では時間の流れが異なるので、まだかもしれませんね。
幸せであってほしいな。
 
一年後のイースターに様子をみにきて、いろいろ暴走しているだろう総帥にカツを入れに来てくれてもいいのよっ!()